第4章 裁けぬ人
Side of 縢
「っ!?」
今のは、悠ちゃんの叫び声…?
地形が入り組んでいて悠ちゃんを見つけることは難しいと感じた矢先。
悠ちゃんの悲痛な叫びが聞こえた……。
急いで声のした方へ向かうと、少し開けた空間に出た。
中央には、うずくまっている悠ちゃんと、その近くにはドミネーターと猟銃が転がっていた……。
そして、梯子を昇った少し先に、手すりに手錠で繋がれ首を切り裂かれた女の……死体があった…。
俺は左手首に手を伸ばし、通信を入れた…。
「ギノさん。…被害者の死亡を確認。如月監視官は……その様子を見ていたみたいだ…。」
「//……そうか。すぐに向かう…。//」
とりあえず、俺は少しでも悠ちゃんが落ち着けるように、と彼女の背を撫でた。
彼女の背は震え、彼女は……泣いていた。
俺はどうすることも出来ず、ただただ、泣いている彼女を抱きしめた。
すると、悠ちゃんは、震えながら小さく声を漏らした……。
耳を彼女の口元へ近づけ、か細い声を聞き取ろうと懸命に耳を懲らす。
『…彼は……裁けない…。』
俺はこの時、彼女の言った言葉の真意を、意味を理解出来ていなかった……。