第4章 裁けぬ人
「……どうしたの?早く、打ちなよ。」
ガクガクと足が震えて、彼の声は私の鼓膜をすり抜けて、消えてしまった。
バン、バン!!
『……っ!!』
引き金を引いたものの、反動で向きが変わり彼には当たらなかった。
銃声で女性は更に怯える……。
「…少し、残念だよ。君のその美しい手で、僕の人生の幕を下ろしてはくれないんだね……。」
『貴方にも、女性にも…死んでほしくない……。お願い…一緒に来て…。』
さも残念そうに顔を歪めて言う彼に、私もそう告げた。
涙で視界が歪む……。
彼が女性の髪を掴み上げナイフを首筋へと持っていく……。
「い…や……。」
女性がか細い声をあげた。
『…っ!!やめてぇえええええええええええええええっ!!』
私の叫びを、まるで合図にするかのように、彼は…一瞬で女性の首を裂いた。