第4章 裁けぬ人
それからしばらくして………
Side of 如月
「如月監視官。その時の状況を報告してくれ。」
全員の視線が私に向けられる。
その中には驚くほどの早さで怪我を回復し、復帰した狡噛さんの姿もあった。
『犯人の名前は槙島聖護と言います。』
その名を言った瞬間、狡噛さんと宜野座さんが息を呑む気配を感じた気がしたが、私は構わず続けた。
『彼は……槙島聖護は……。ドミネーターで裁くことができません。』
涙ぐみながらも私はそう断言した。
その場に居た全員が言葉に詰まって居るのを感じた。
「…ドミネーターで裁けない。…つまり、槙島と言う男はシビュラシステムの外にいる存在、と言うことでしょうか?」
六合塚さんに続き、縢君も
「ドミネーターは、壊れてなかったんだよね?」
『…うん。さっきまでは正常に作動していたし、調べてみたけど、何処にも異常はなかったし、その後修理に出しても"何処も壊れていない。"って言われて…。』
「……やっぱりか…。」
私の発言に困惑したような沈黙が流れる中、狡噛さんがぽつん、と呟いた……。
呟くや否や、狡噛さんは立ち上がり何処かへ歩いていってしまう。
「おい、狡噛。待てっ!!」
宜野座さんが狡噛さんを追う。
私はそれ以上何を言う気にもなれず、そのままストンと椅子に座った…。