第4章 裁けぬ人
Side of 如月
入り組んだ迷路みたいな地下を走り回り、やっと二人を見つけた……。
『公安局です!!止まりなさい!!』
私は男性にドミネーターを向ける。
= 犯罪係数 アンダー50 執行対象ではありません。 =
= トリガーをロックします。 =
『え……?』
ドミネーターが…。正常に反応しない!?
どうして?…さっきまで、普通に作動してたのに……。
そんな事を考えていると、男性が私に声をかける。
「久しぶりだね……。悠。」
『……っ!?』
私は驚いて…そして、ふと、男の面影や話し方に聞き覚えがあることに気づく……。
「…僕の事を、忘れてしまったの?悠…。」
そう言って清々しいほど爽やかに微笑む男性…。
『…しょう、ご…先輩?……槙島先輩なの…?』
喉が震えた。
大好きだった先輩の彼が、こんな事をしているのだとしたら、とてもじゃないが堪えられない……。
だが、依然としてドミネーターによって表示される犯罪係数は…
= 犯罪係数 アンダー30 執行対象ではありません。 =
= トリガーをロックします。 =
「…正解。よく出来ました。」
パチパチ、と拍手して微笑む彼は、ふと、私に何かを投げて寄越した。
ガンッと固い…鈍い音がして、それは私の足元に落ちた。
「僕を止めたいのなら、そんな役に立たない鉄の塊じゃなく、それを使いなよ。」
私は震える手でとりあえずそれを拾った。