第4章 裁けぬ人
Side of 狡噛
とりあえず、1係の皆には連絡をした。
電波妨害装置は縢が破壊した、と連絡があった。
そろそろ、助けも来るだろう。
監視官が来る前に…奴をどうにかしないと……。
縢はともかく、何も知らない如月監視官は負傷してしまうかもしれない。
何故だか、それだけは絶対に避けたかった……。
俺が動き回る度に響く銃声…
俺は既に何発か、銃弾を浴びていた。
そして、俺もドミネーターで奴を捉えてはいた。
だが、相手には大きな傷を負わせてはいないようだ。
相手の動きが鈍った様子はなかった。
「くそ……っ!!」
下腹部を押さえながら階段を上る…。一段、また一段と…。
出血が酷い。
階段を上る度に身体が重くなる様な感覚に陥った。
出血からか、視界が霞んできた。息もしづらい。
コツ…コツ、と淡々とした足音……。
「何処だ…?」
男の呟きが響く…。
点々と血が続いている…。どうやら、男はそれを追ってここまで来たようだ。
男は不気味な笑みを浮かべた。
そして、狡噛の後ろ姿を見つけ、銃を構えた……。
「ゲームオーバーだよ。執行官……。」
パァン!!と乾いた銃声が二発ほど響いた。