第4章 裁けぬ人
狡噛さんが無事だった。
それだけで、私はとても嬉しかった。
これ以上、皆に迷惑をかけてはいけない。
私はそう自分に言って聞かせたのだった……。
縢君と合流し、共に狡噛さんが居ると思われる区画へ侵入した……。
「ひぇ~っ!!これは確かに、たちの悪い"ゲーム"としか言いようがないな。」
『そう…だね。少し……怖い。』
「大丈夫だって。俺だって居るし、コウちゃんだってそう簡単にやられちゃいねーよ。」
私が顔を上げ、彼の顔を見つめると。
彼は私を励ますように、にっ、と笑った。
『…そう、だよね。今は私もしっかりしないと…!!』
「本当、いつも思うんだけどさ、抱え込まないようにね?悠ちゃん。」
再び下を向いてそう呟いた私の顔を覗き込みながら縢君が言った。
『うん。大丈夫だよ。いつもありがとう。』
そう言って私は微笑んだ。
これ以上、彼に心配させないように……。
縢君は、いつも私の気持ちを汲み取ってくれる。
そんな彼の笑顔と優しさに、私の肩の荷は下りた気がした……。