第3章 監視官の重み…
『宜野座さん…しばらくの間、これを一人でやってたんだ……。大変だったんだろうな…。私もしっかりしなくちゃ…!!』
「くくくっ」
独り言を零していると、背後から押し殺した笑い声が聞こえた。
『え…?』
やっぱり気になるのは当たり前で、私はくるり、と半回転して振り返った。
すると、そこに居たのは…。
「やほ。悠ちゃん。お疲れ~。」
尚も笑い続ける縢君である。
そう言って、縢君は私に缶の飲み物を渡してくれた。
『あ。縢君…。ありがとう。』
「いえいえ。……監視官もさぁ~大変だよね。」
更にそう続けて、縢君は近くにあった椅子に腰を下ろし、自分の物として買った物らしき缶ジュースを開けて口をつけていた。
『そんな事ないよ。宜野座さんと比べたら私なんて……。』
「んー。でも、悠ちゃんも悠ちゃんなりに頑張ってるならそれで良いんじゃない?……自信、持ちなよ。監視官殿♪」
そう言って、縢君は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
『ふふっ。ありがとう縢君。』
私もつられて微笑む。
縢君は、何故か納得したように何度か頷くのであった。
……縢君の不思議な所は、どんなに不安な時や辛い事があった時でも彼が笑って励ましてくれたら、どうにかなるんじゃないか。そんな気持ちにさせてしまう事だと、この時の私は改めて思った…。