第3章 監視官の重み…
「情報が早いな。とっつぁん。」
「まぁな。」
二人のそんな会話を聞き流し、俺は狡噛を問い詰めた。
「狡噛、貴様また用具を破壊したのか。」
「"破壊"って…。言い方大袈裟だろ……。トレーニングしてる時に殴ったら動かなくなっただけだ。」
「それを破壊した、と言うんだ。全く、お前は何度破壊したら気が済むんだ。破壊神にでもなったつもりか?」
「破壊神、か。悪い気はしないな。」
そう言って笑う狡噛に多少イライラしながら、俺は続けた。
「良いか。ものにも限度と言うものがあるだろうが。何故壊れるまでになるんだ。」
『まぁまぁ。宜野座さん。怒っても壊れてしまった物は直りませんよ。』
如月監視官の柔らかいその声で、はっと我に返る。
優しげなその声は俺を少し落ち着かせてくれた。
「……そうだな。」
「流石、如月監視官だ。」
『狡噛さんも、そう何回も壊されてしまっては管財課の皆さんや宜野座さん、私にも負担がかかりますので、やめてくださいね?』
諭す様な口調で言う如月監視官。
「……申し訳ない。」
『ふふっ。まぁ、済んでしまった事は仕方ありません。私が管財課に行って来ますね。』
「悪いな。如月監視官。」
軽くそう言う狡噛に、俺はぴしゃりと言い放った。
「悪いと思うなら行動を改めろ。」
俺達のそんな会話を聞いて苦笑した如月監視官は
『では、失礼します。』
と、一礼し、俺達に背を向け歩き出す。
俺は…しばらくその背を見つめていた……。