第13章 白昼夢
Side of 如月
槙島は死んだ。
あの後、ドローンに死体の回収をさせようと思って、数台を向かわせたのだが……。彼の死体は見つからなかった……。
だから、私は……
彼が奇跡的に生きているのだと…そう思って……。
……信じている……。
……死んだ、なんて…思いたくなかった……。
沈んだままの気持ちで、カフェオレに口をつけた。
程よい苦味と、ほんのりとした優しい甘味が舌に染み渡る。
既に温くなってしまったそれを、ぐっと飲み干して溜息を吐く。
……あなたは、何故…あの時……。
私の手を振り払ってしまったの……?
何故、離してしまったの……?
私は、ひどく憂鬱で、机にうつ伏せて瞼を閉じた……。
……今までの間に、目まぐるしく起こった出来事が、真っ黒な脳裏を明るくして、よぎっては消えていく……。
……やっぱり、私は…あなたが好きだった……。
「……如月…。」
名前を呼ばれて顔を上げると、そこには狡噛さんがいた……。
『狡噛…さん……?
どうしたんですか……?』
「…………悠。
お前のことは、必ず俺が…守ってみせるからな。」
唐突に言われた言葉に戸惑いを覚える……。
『……ふふっ。
変なことをおっしゃいますね。慎也さん……?』
「…俺は、真面目に言っているんだが……。」
『ふふ……。わかりました。
では、これから先はそのお言葉に甘えさせていただきますね。』
そっと私の頬を撫でた慎也さんの、その優しい手を取り、私は微笑んだ……。