第12章 死
…なんだろう。
弟が出来たみたいだ……。
実際は私と縢くんは2つ年齢が違う。その上、私の方が年下だ。
そこまで年齢は変わらないはずだし、縢くんの方が年上のはずなのだが……。
私が年下と言うよりは、縢くんがだいぶ年下のような感覚を覚える。
『仕方ないなぁ……。
あのね、縢くんがお礼言われたことに対して、少し戸惑ってたっていうか…困ってたっていうのと、その時の反応が……とっても可愛いなぁ…って、思ったの。』
苦笑して白状すると、縢くんはあからさまに拗ねてそっぽを向く。
「……。」
『う…。あ、あの……。
縢くん……?怒ってます…?』
彼の様子を窺うように訊ねると、縢くんは状態で続ける。
「……怒ってないよ…。
ただ…ただ、ね。
……俺だって、すきな女の子にだけは"カッコイイ"って思われたい……。」
『…縢くん……。』
「…俺の気持ち…知ってるのにそういう意地悪言わないでよ……悠ちゃん。
……あ〜。俺、情けねぇ……。」
溜息を吐いて、嘆くように少し大袈裟に言う縢くんの背が、悲しそうに見える。
……本当に申し訳ない。
応えられなくて……。
情けないのは、私なのに……
『……ご、ごめんね。
応えられなくて……。本当に…ごめん……。』
「……ん?
悠ちゃんが謝んなくて良いでしょ。
気にしないで〜。応えるなって言ったの、俺だし〜?」
本当に一瞬だけ…暗くなったように見えた縢くんの表情は、再びいつも通りにニパッと笑って言う。