第12章 死
その笑顔は眩しく輝いて見えた……。
……いつもは気がつかなかっただけで、
いや、故意的に気づかないようにしていたのかも知れない。
その眩しいくらいに輝くその笑顔の裏に、
暗く、重く…渦巻いている闇が、垣間見えた気がしたのは……気の所為だったのだろうか……?
苦しくなって、切なくなって、彼を見ることが出来なくなった。
私が彼に背を向けたその時、背中からそっと優しく、ふんわりと抱きしめられた。
縢くんの香りがふわりと漂い、私の鼻をくすぐる。
「……誰もいないみたいだから……。
少しの間だけ、こうさせて……。」
肩口から縢くんの声が、吐息が…私の耳元や首元を掠めてくすぐっていく……。
『ふふっ……。わかった。
……けど、少しくすぐったいかなぁ…。』
「んなこと、知りまっせぇーん。」
しばらく、そうして2人で笑いあった。
…その時は、温かくて、優しくて、柔らかくて……。
苦しんでいた私の心を、慰めてそっと撫でてくれた……。