第11章 逃走
それから更に数日経っても、私の心が晴れることはなく沈んでいた……。
溜息を1つ、零したその時…。
「…如月、まだ悩んでいるのか。
……色相が濁るぞ…?」
缶コーヒーを飲んでいる狡噛さんが、背後から声をかけてきた。
『……それが、あんまり濁ってないんですよ……。
こんなに悩んでるのに…。…私って、薄情なんですかね……。』
不満になって頬を膨らませる。
すると、狡噛さんがホットココアの缶を渡してくれた。
…まだ、だいぶ温かい。
今の季節には、丁度いい温度だ。
……ほっとする…。
「それでも飲んで落ち着け。
……それで?どんな色だったんだ?」
『ありがとうございます。
えっと…マリンブルー……ですね……。』
子供扱いされてる……?
少し不満を覚えつつ、情報を出しそれをそのまま口にする。
「……確かに、だいぶクリアだな…。」
『やっぱり、そう思いますか…?』
「…まぁ、な……。
だが、そんなに気にする必要は無いさ。大切なのは、自分がどう思っているのか…。
……そうだろ?如月。」
『…っ……。
で、ですよね…っ‼
ありがとうございました、狡噛さんのおかげで気が楽になりました……‼』
狡噛さんの言葉が嬉しく思えて、私は微笑んだ。
それから、
『いただきます。』
と、ホットココアの缶を開け、1口飲む。
柔らかい甘味とほんのりとしたココアの苦味が染み渡る。
…すると、しばらくそんな私を見つめていた狡噛さんが話題を変えた。