第11章 逃走
すると、縢くんが答えてくれた。
「悠ちゃん…槙島聖護を確保した後、倒れたんだよ……。」
言われてから思い出した。
そういえば……あの後。
あれ以上堪えきれなくなって膝をついたんだっけ……。
あの時、気を失っちゃったんだ……。
自分の不甲斐なさに溜息を吐いた。
それに続いて、唐之杜さんが口を開いた。
「おそらく、だけどね?
槙島聖護に目覚めないように睡眠薬でも投与されていたんだと思うの。
…そこに疲労と激しい体力の消費が重なって倒れちゃったんだと思うわ。
しっかり休んで早く良くなってね。」
「…如月、無茶をするなよ?
少しの間しか時間をやることが出来ないが、ゆっくり…休んでくれ……。」
妖艶に微笑んでウインクを飛ばし言う唐之杜さんに続き、宜野座さんが穏やかな声音で言ってくれた。
……皆の優しさがありがたい。
『…では、お言葉に甘えて……少しの間休息を取らせていただきます……。』
「ああ。戻ったら仕事の量、倍にしてやるからな。
……覚悟しておけよ?」
私が申し訳なくそう言うと、宜野座さんが意地悪そうに微笑みながら言った。
その声にも、優しさが滲んでいた……。