第11章 逃走
『っ……。
こ、こは……?』
瞼を押し上げると、何処かで見たような、見てないような……。
そんな朧気な記憶の、無機質で冷たくて…素っ気ない天井が見えた。
「……目が、覚めたのか……?」
『こ…がみさん……?』
億劫だが、声のする方に首をゆっくりと向けた。
そこには、心配そうに私の顔を覗き込む1係の面々と唐之杜さんの姿があった。
「っ!!
せ、センセー‼悠ちゃんが……っ!!」
「はいはい。
ここにいるんだからわかってるわよ。」
声を上げる縢くんに唐之杜さんが少し面倒に答える。
「……唐之杜。如月の状態は、どうなんだ?」
「もう大丈夫よ。
心配ないわ。
……いろいろ積み重なってストレスや疲れが溜まってたんでしょうね。
それが槙島聖護の逮捕で一気にブワッと出た〜って感じ?
……少し休んだら、私の力で持ってチョチョイのちょいよ〜。」
心配そうな声音の狡噛さんの声に唐之杜さんが答え、1係の一同はふっと肩の力を抜き、息を吐いた。
『……あ、の。
一体、何が…あったんですか……?』
いまいち状況がわかっていない私は、事情を知っていそうな狡噛さんと縢くんに訊ねる。