第10章 決着
『……今まで、何度も何度も。
縢くんや、縢くんの言葉に救われた……。
だから、私も縢くんの力になりたい……。』
そっと、縢くんの手を取る。
彼の視線は、地に落ちたまま上がっては来ない。
来てはくれない。
『……ありがとう。縢くん。
こんなに不甲斐ない私を、こんなに優柔不断で頼りない私を…想ってくれて……。
……本当に、ありがとう……。』
縢くんを、そっと抱きしめた。
「……如月、縢……。」
呆れたように溜息を吐いて、苦笑しながら狡噛さんが私達の名前を呼ぶ。
私も同様に苦笑してから、槙島先輩……。
いや、槙島聖護に向き直った。
『…槙島聖護……。
あなたを、逮捕します…。』
私は彼へと歩み寄り、彼のその骨ばった手首に拘束具をつけた。
"……やっと、全てが終わった。"
この時の私は、そう思っていたに違いない。
……だが、これは。
別の事件の始まりに過ぎなかったのだ……。