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PSYCHO-PASS ー真っ直ぐな瞳ー

第10章 決着




『何故、こんなことを思い出しちゃったんだろ……。』


私のそっと漏れた呟きは、誰の耳に届くこともなくただの独り言になった。

このまま、死んでしまうのだろうか。
もし、そうなるのだとしたら…

また、親友達ともっと話したかった……。


「……悠ちゃん‼あれ……っ!!」


縢くんの声で記憶から現実へ引き戻される。

縢くんが指を指している方向には、殴り合いをしている狡噛さんと、槙島聖護の姿があった。


「…コウちゃんが……押されてる…?」

『っ……‼』    「って、悠ちゃんっ!?」


縢くんの声を背中に浴びながら…私は飛び出した。
気がついた時には、槙島の背に体当たりをするような形で飛びつき、彼を押し倒していた……。


「悠…っ!?」

「如月…っ!?」


驚いて声を上げる2人を私は叱咤した。


『なんてことをするんですか……っ!!

 狡噛さんも、槙島先輩も……。私にとっては、かけがえのない大切な人なのに……っ!!
 何故……こんなことを……。』


言葉が、溢れて止まらない。
絶句する3人に気づいていなかった私は、更に叫んだ。


『狡噛さんに、槙島先輩は殺させませんし……。
 槙島先輩にも、これ以上罪を重ねさせたりはしません……‼

 ……どうか、もう…。
 やめてください……っ!!』


静かだったその空間の静寂を、乱すように私の泣きそうな声が空虚に響いた……。

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