第10章 決着
Side of 如月
縢くんと2人で狡噛さんの元へ急ぐ…。
忘れかけていたが、私は槙島聖護に誘拐されたのだった……。
理由がなんであれ、私にはどうでも良かった。
もう1度……彼と話したかった…。
「ここでコウちゃんと二手に別れたんだ。」
しばらく走ったところで、背後から縢くんの声が響いた…。
『じゃあ、狡噛さんは多分こっちの方に行ったんだと思う……。
急ごう…。』
なんだか、クラクラする…。
視界が霞み、頭痛が酷い。
思考を整理し、倒れそうな自分を叱咤する。
槙島は、何故私を誘拐などしたのか……。
考えてみれば、狡噛さんや縢くんがいると槙島からはわかっていたはずだ。
槙島が例え対人戦闘に長けていたとしても、同じように戦闘力の高い狡噛さんや縢くんがいたのに…。
無鉄砲というか、なんというか……。
"槙島聖護らしくない"と言うべきか……。
…槙島の考えていることが、私には理解しきれなかった……。
少し頭を振って、思考をリセットする。
「……悠ちゃん、顔色悪いよ…?
大丈夫……?」
『だ、大丈夫だよ…。』
心配そうに声をかけてきた縢くん。
私は少し身体のバランスを崩しかけたが、なんとか持ちこたえる。
私は、呼吸と整え縢くんと共に先を急いだ……。