第10章 決着
Side of 縢
コウちゃんと別れてからしばらくして…。
少し離れたところに力なく腕を無造作に垂らし横たわる悠ちゃんの姿を見つけた……。
「っ……‼
悠ちゃん…っ!!」
すぐさま駆け寄り、息を確かめる。
……良かった。
息はしてるみたいだ……。
「悠ちゃん……悠ちゃん…っ!!」
軽く悠ちゃんの肩を揺さぶる。
『か、がり…くん……?』
気怠そうに瞼を押し上げる悠ちゃん。
その綺麗な瞳は、少しさまよってから俺の姿を捉えた……。
「…良か…。」
"良かった。"
それを言葉にすることは出来ず、俺は悠ちゃんを強くぎゅっと抱きしめた。
『どうし、たの……?』
疲れたような、怠そうな、そんな声で悠ちゃんが耳元で言う。
耳元で吐かれるその吐息が、少しくすぐったくて心地よかった……。
俺は、いつの間にか震えていた。
……こんなにも、悠ちゃんが好きで…大切なんだ……。
『……。』
悠ちゃんは、何も言わずに小さく震える俺を抱きしめる。
それから、そっと…宥めるように優しく…俺の背を撫でた。
……その瞬間、今まで堪えていたものが、耐えていたものが…。
どっと溢れて歯止めが効かなくなる……。
情けない。
…涙も、嗚咽も…言葉も……
どうやら、止まりそうにないらしい。