第10章 決着
互いに視線が絡まり合う……。
視線を逸らしてしまったら、そこで負けるような、殺されるような気がして……逸らすことなどできなかった。
「……君じゃ、悠を守れないだろう?」
「さぁな。
……例えそうだとしても、それはあんたにも言えることだろう?」
「……僕は、君達とは違う。
潜在犯になって落ちぶれたりは絶対にしない。」
「……潜在犯だってな。
好きで潜在犯やってるんじゃねぇんだよ。」
「……そんなこと、僕には関係ない。
僕は、悠が無事なら、それでいい。
僕と悠が一緒にいられるのならそれでいいんだ。」
「だいぶ、如月にご執心のようだな。」
「……それは、褒め言葉だね?
…でも、君も人のこと言えたものじゃないだろう?狡噛慎也。」
「……。」
「……。」
しばしの沈黙…静寂の後…
唐突に戦いは始まった。
奴が、仕掛けてきたのだ。
余裕のあり気な笑みに苛立ちを覚え、拳に力がこもる。
互いに拳を打ち付けあったり、蹴り合う。
……勝率は、五分五分といったところだろうか……?
そこで、ふと思った。
……縢は、如月を見つけることができたのだろうか……?
……。
如月が無事なことを願う。
ただ。
…縢が、如月を見つけてそのままこちら側に来ないことを願おう…。