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PSYCHO-PASS ー真っ直ぐな瞳ー

第10章 決着




雑居ビルの薄暗い階段を登っていく……。


槙島聖護を見たのは、確かこの辺りだった。
血は、このビルの入口付近から数メートル置きぐらいに点々と続いている。

俺と縢。
2人分の影が階段に落とされている…。

白々しい電球の心もとないその明かりが不気味で、少し苛立ちを覚えた……。

そんな中、ふと縢が言葉を紡いだ。
その声は反響して、背後からの直接の声と混じり少し耳障りに聞こえた。


「コウちゃん。」

「ん?なんだ。」

「あの、さ。
 こんな時にあれなんだけどさ……。
 俺さ…悠ちゃんが好きなんだよ。」

「…それで?
 告白とか、するのか?」


とうの昔に気づいていたさ。
そんなこと……。

ただ、俺は気づかない振りをした……。
そのままからかうように相手に問う。


「えぇっ!?
 そ、そんなのできるわけねぇじゃん……。」


不服そうに聞こえるその声は、どことなく寂しげで悲しそうだった。


「怖いのか?」

「そ、そうじゃなくてさぁ。

 やっぱり、どう足掻いても俺と悠ちゃんじゃ執行官と監視官じゃん?
 ……だから、さ。やっぱり、不安なんだよ…。」


溜息を吐いてからつぶやく縢を俺は見下ろす。


「……まぁ、俺がどうこう言えたもんじゃないが…。

 後悔しない生き方をしろよ?縢。」

「……あのさぁ、コウちゃん。

 俺的には、潜在犯落ちして執行官なってる時点でもう後悔ありまくりなんすけど〜……。」


不満ありげに言う縢に俺は苦笑して、そこで会話は一旦途切れた……。


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