第9章 暴徒
Side of 槙島
僕は気絶した悠を抱きとめた。
…本当に気絶していることを確認し、彼女を抱き上げる。
透き通るような…艶のある美しい肌は、柔らかく良い意味で僕にまとわりつく。
彼女の甘ったるい、いい匂いが鼻をつく。
「…悠……。」
僕は悠を強く抱きしめる。
それから、その髪に顔を埋めた…。
…彼女だけは……。
誰にも渡さない。
狡噛慎也…。お前にもだ……。
しばらく悠を抱きしめた後、彼女を抱きしめ直して歩いていく…。
…これから先、如月 悠と共に人生を、生涯歩いて行きたい……。
そんな夢に思いを馳せつつ僕はふっと微笑んだ。
…悠、好きだよ…愛してる。
これから先、僕の隣にいてくれるのは君がいい。
これから先、君には僕の隣で微笑んでいてほしい……。
我が儘だろうか。
昔は、こんなこと言わなかったよね……。
君を変えたのは、君だよ…悠。
僕はそんなことを考えつつ、歩を進めた……。