第9章 暴徒
そんな私を見下ろして、立ったまま狡噛さんは言い放つ。
「如月、もう1度警告だ。」
『は、はいっ!!
"こちらは公安局です。武器を捨て、手を頭の後ろへつき、膝をつきなさい‼"』
少し慌ててからそう警告する……。
…すると、人々は武器を捨て手を後頭部につけ膝をついた……。
……私は自分の不甲斐なさに深く溜息を吐いた。
それに続いて縢くんが声を上げた。
「え〜。コウちゃん。狡い〜っ!!
俺だって、それやりたかった〜っ!!」
拗ねたように声を上げる縢くんは、そのまま子供っぽく頬を膨らませた。
それから、後部座席から前方へ身を乗り出している。
「…次、機会があればな……。」
そんな縢くんを気にせずに、人々を拘束しに行く狡噛さん。
そんな彼の横顔は穏やかで少し笑っていた。
やっぱり…狡噛さんって…すごいなぁ……。
私は改めて実感し、縢くんと共に車を降りた…。