第2章 パラライザー
「悠ちゃん。ダメじゃん。パラライザーで打たなきゃ…。」
重々しい、縢君の声…。
『でも、彼女は被害者です。パラライザーで…打たれる必要は、ドミネーターを使用する必要がありません。』
「本当に、そう思ってる?」
『え…?どういう……意味?』
縢君の放った言葉の意味が…彼の真意が掴めず、思わず聞いてしまった。
「シビュラが、あの女を"裁け"と命じた。それなのにあんたはドミネーターを使わねぇの?……シビュラに逆らうのか?」
『…そういう訳じゃ…ない。ドミネーターを使うのは、人なんだよ。…いや、人でなくてはならない、と言うべきかな…。人が状況を把握し、使用するかどうかを判断する。そういう社会が良いと、私は望んでる…。』
「…。」
縢君は黙り込んで、厳しい瞳で私を見つめる。
私は構わず続けた…。
『"法が人を守るのではない、人が法を守るのだ…。"そう、教えてくれた人が居てね…。私はその言葉を、その言葉の意味を……。大事にしたいと思ってる。』
「……ふぅん。」
私達の会話はそこで一旦終わった……。