第9章 暴徒
分析室へ行くと、そこには狡噛さんの姿も見られた……。
「…なんだ。如月と、縢か。」
「コウちゃん…いたんだね〜。」
『こ、こんにちは。
……やっぱり、狡噛さんもヘルメットの件ですか……?』
狡噛さんのその横顔を見つめながら疑問をぶつけてみる……。
「ああ、少し…気になってな……。」
答えてから、狡噛さんは自分の顎に手を添えて何かを考えている素振りを見せる。
考え事……かな。
話しかけちゃ、邪魔かな……。
そんなことを考えていると、
戻ってきたらしい唐之杜さんの声が響いた。
「あーら。
悠ちゃん、秀くん。いらっしゃ〜い♪」
「……俺、結構前から除けもんなんだけど……。」
「なんだ縢、拗ねてるのか……?」
「拗ねてなんかねーよ‼
ていうか、何笑ってるの悠ちゃん!?」
不服そうな声をあげた縢くんを狡噛さんがからかう。
最近ではいつものことだが、その様子が微笑ましくて、つい…笑ってしまう……。
『だって、何だか縢くん可愛いんだもん。』
「……うっわ〜…。
俺、それは結構ショックだなぁ……。」
ガックリと少し大袈裟に肩を落とす縢くんに、苦笑して小さく謝罪する。
『……ごめんね?』
「…ちゅーしてくれたら許す‼」
『……。
……えぇっ!?』
「冗談だよ、冗談っ!!
…いやぁ……相変わらず悠ちゃんは、からかいがいがあるなぁ……。」
カラカラと楽しげに笑う縢くん。
…楽しそうなのは結構だが、
…私は堪ったもんじゃない。