第9章 暴徒
『わ、私は、大丈夫だよ…?
でも、頑張っているのに…全然手が回ってないね……。
身動きが取れないみたいに、動きが鈍い……。』
微笑んでからそう言い、話題をすり替える。
その微笑みはぎこちなかったはずなのに、縢くんはそれ以上追求はしてこなかった…。
優しいんだもんね…縢くん……。
「…槙島聖護の所為なんでしょ。
これも全部……。
……はぁ。
せめて、あのヘルメットの仕組みがわかればなぁ……。」
私の言葉に反応した縢くんは、俯いて溜息を吐いてそう言った。
……確かに、あのヘルメットの仕組みがわかれば…捜査も少しは楽になるだろう……。
そう思った私は……
『……私、分析室に行ってみるね…‼』
気合いを入れ、そう言った。
すると縢くんも少し驚いたように顔を上げ、私を見つめる……。
それから、小さく笑った。
「んじゃ、俺もついて行くよ。」
言ってから私に笑いかける縢くん。
事件の所為で、少しこわばって緊張していた身体と心ががほぐれていく…。
『…うん、ありがとね…。』
私も微笑んで、それから2人で分析室へと向かった……。