第9章 暴徒
Side of 如月
エリアの至るところで、暴徒と化した市民と、ヘルメット集団が争っている……。
「うっわ〜…。
これも動画上がり出しちゃってるみたいだね〜…。
好き勝手言ってくれちゃってるし…。
…俺達公安局…執行官の事であることないこと書いてるだろ、このサイト…。
……すんげぇ腹立つ〜……。
……俺らだって、めちゃくちゃ忙しいっての……‼」
端末をいじって眺めていた縢くんが苛立って端末を放った。
確かに、このままではこの国は破滅の一途をたどるだろう。
……それだけは、何としてでも避けたい。
……それに、彼に…。
槙島聖護に……。
訊ねたい事がまだ、たくさんあった……。
「……?
…悠ちゃん……?」
『っ……‼』
そんなことを考えていると、縢くんに顔をのぞき込まれ我に返る。
彼の瞳は、心配そうに揺れていた…。
そんな顔させて、ごめんね。
私がしっかりしてないからだよね……。
「……大丈夫?」
縢くんの声が、困惑して小さく、頼りなく聞こえた。