第9章 暴徒
「おい。あんたか…?」
そのリーダー格のような目つきの悪い男から問われ、僕は静かに答えた。
「それは取引の相手……という意味かな?
そうだったら、答えは"Yes"だ。」
すると男達はアタッシュケースを取り出し、僕にお金を見せる。
「ああ、確認した。
ヘルメットはここに居る人数分……。
そうだね、5つ持っていっていいよ。」
僕はケースを受け取り、ヘルメットを差し出してそう告げた。
先ほど言葉を紡いだ男とは別の男が言い放つ。
「……あんた、1人なのか?」
「ああ、そうだよ。」
僕は短く答えた。
……すると、男達は顔を見合わせ、下卑た笑みを浮かべた…。
「…なぁ、あんた。
こんな良いもん作っておいて、独り占めしようってわけじゃねぇだろうなぁ……?」
「まさか。
だとしたら、こんな風に売りとばしてばらまいているわけないじゃないか。」
「……ちっ。
そういう意味じゃねぇよ……。」
「……どういう意味かな?」
苛立つ相手を見て僕は微笑む。
「……少し、痛い目見ねぇとわかんねぇようだなぁ……。」
苛立って、口々に罵詈雑言を吐き捨てる男達を…リーダー格のような男が手で制し、呟いた……。