Welcome to our party 2 【気象系BL】
第13章 灰白 by のさまじょ
「…汚らわしい血に塗れておるのだな…」
なんの表情もない声だった。
「すまぬ…」
マタギなぞ、四足の獣の血で汚れている。
神職には忌々しい職業だろう。
立ち上がろうと足に力を入れたら、強い痛みが走った。
「つっ…」
「どうした?」
「いや…」
神職は俺の方に歩み寄ると手を差し伸べてきた。
「さあ、立て」
「いい、自分で立てる」
しかし地面に着いた右足が痛くてよろけてしまった。
「あっ…」
倒れ込む身体を、神職が支えた。
「危なかろう…」
「すまぬ…」
白檀の香りがした。
「そこに私が休む小屋がある。行こう」
軽々と俺を抱き上げると、神職は歩いた。
「い、いやっ…俺に触れるな!汚れるぞ!」
「構わぬ」
また霧が濃くなる。
辺りを完全に霧が覆う前に小屋に入ってしまった。
神職は俺を藁の上に載せると、ふっと微笑んだ。
どきりとするほど、流麗な笑み。
魅入られたように目が離せない。
「霧が晴れるまで…ここにいるがよい…」
そっと頬を撫でると、漆黒の瞳が俺を捉えた。
「美しい顔をしておる…」
「え…?」