Welcome to our party 2 【気象系BL】
第13章 灰白 by のさまじょ
なんの神様か知らぬが、禁足地には荒神様が御座すという。
そこに足を踏み入れたものは、怒りに触れ生きて帰れぬという。
山門の端から、綱で結界を作ってある。
此処から先は、マタギと言えど足を踏み入れることはできなかった。
「ちっ…」
舌打ちして猟銃を構える。
だが、いくら俺でも禁足地に向かっては撃つことはできなかった。
急に霧が辺りを押し包んできた。
箕を被り、菅笠を深く被ると来た道を引き返した。
しかし霧が濃くなり、一寸先も見えなくなってくる。
「くそっ…」
銃身を天に向け、一発撃ったが仲間に聞こえているだろうか。
完全に俺の周りは霧で覆われた。
こういう時は無闇に動いてはならぬ。
俺は諦めて倒木に腰掛けた。
「うわっ…」
その倒木は見た目よりも腐食が進んでいて、腰掛けた途端脆く崩れ去った。
運の悪いことに、後ろには地面がなかった。
真っ白な中、俺は吸い込まれるように落ちていった。
気がついたら、何やら柔らかいものの上に居た。
「え…?」
目を開けると、辺りはまだ白い。
どうやら助かったらしい。