Welcome to our party 2 【気象系BL】
第13章 灰白 by のさまじょ
「おおーい!そっちへ行ったぞ!」
マタギ仲間の叫ぶ声がした。
猟銃を持ちながら、夢中で声のする方へ駆けていく。
山の急斜面を登り、木々の間を注視していると、隙間から白い毛並みが駆けていくのが見える。
「灰白(はいじろ)だっ!」
思わず叫んだ。
ぱあんと猟銃の弾ける音が聞こえた。
音のする方に全速力で走る。
「仕留めたかっ!?」
弾を放った仲間を見つけ聞いてみるが、首を横に振った。
銃身に弾を込めると、忌々しげに舌打ちする。
「灰白の奴…逃げ足が早い…」
草鞋を締めなおすと、再び駆け出した。
「俺はこっちを行ってみる!」
「ああ、頼んだぞ!雅!」
仲間に背を向け斜面を一気に駆け下りた。
さっき見た灰白は、あちらに向かって走っていった気がした。
暫く走ると、禁足地の山門が見えた。
諦めて走るのを止め、目を凝らす。
「あっ…」
やっぱり…!いつもこのあたりで灰白を見失う。
禁足地に逃げ込んでいたのだ。