Welcome to our party 2 【気象系BL】
第96章 第三ボタン by Namako
迎えた卒業式当日…
俺の緊張は既に標準値を超えていて、松本に言われるまで、手と足が同じ方が出ていることさえ気づかない程だった。
「ニノ大丈夫?顔、超怖いけど…」
「そう思うなら俺に話しかけないでくれる?雅紀の天然が伝染る」
折角徹夜で練習したのに、ミスったらそれこそ元も子もない。
俺は雅紀から離れると、生徒会役員の為に用意された席に着いた。
程なくして開式の挨拶がされ、卒業生が体育館へ入場して来る。
あ、櫻井先輩…
似たような背格好に、同じ制服…
なのに俺の目には櫻井先輩だけが、他とは違う光を放っているように見えた。
やっぱ格好いいや…
俺は式の最中、ずっと櫻井先輩ただ一人を見詰めていた。
そして、とうとうその瞬間が訪れた。
「在校生代表、二宮和也」
「はい!」
俺は声高らかに返事をし、壇上へと上がった。
大衆を目の前にすると、紙を持つ手が自然と震えた。
それでも俺は、一言一句間違えることなく送辞の文章を読み上げ、決して届くことのない想いを、一つ一つの言葉に乗せた。
そして最後の一文を読み終えた時、自分が泣いていることに気が付いた。
『先輩、大好きでした…』