Welcome to our party 2 【気象系BL】
第94章 双愛 by millie
「…夢…か…」
下着の濡れた感触に一気に現実に戻る。
重い体を動かしてシャワーを浴びた。
シャワーの熱が和の感触を流していくみたいで…泣きながらその場に蹲る。
そのまま暫く動けずにいた。
どうせ眠れないし…。
言い訳しながらグラスに琥珀色のアルコールを注ぐ。
瞼を閉じれば和の姿が現れる。
『翔?本当はもうわかってるんでしょ?いいんだよ、前に進んで。
幸せになっていいんだよ?』
「でも…」
『あのね、俺と翔は一心同体なんだ。翔が見せてくれるカラフルな世界を楽しんでるよ?でもさ、翔が幸せじゃなきゃ俺の世界も曇るんだよ』
「和…俺…」
『ねぇ、翔、周りを見てみて?そこには翔を待ってる人がいるよ。その人の手を取っていいんだよ。今度はきっと違う未来が待ってる』
「だけど…和…、もしまた…」
『なに言ってるの?俺のイケメン先生はすごく腕がいいんだから…』
ふわりとなにかの気配を感じてそっと目をあける。
そこには闇が広がってるだけのはずなのに…。
月明かりの中に和也がいた。
柔和な笑顔を浮かべて俺を見てる…。
ゆっくりと近づいて来た和が俺をそっと抱きしめる。
『翔…、もういいよ。
過去から…想い出から卒業しよう?
大丈夫、過去も想い出も消えないよ。でもね、生きてる人は立ち止まってちゃダメなんだよ。ちゃんと前に進まなきゃ…。
進んだ先にあるから…、翔の未来が…。幸せが…』
泣きながらそう訴える和を抱きしめた。
…それしか出来なかった。