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Welcome to our party 2 【気象系BL】

第93章 手紙-サランヘ- by のさまじょ


そのまま自分の車に飛び乗って、大野の家を目指した。

都心から少し離れたそこに着くと、すぐに呼び鈴を鳴らした。
出てきた大野のじいさんは、少ししょぼくれていた。

「あんたが…櫻井か」
「はい…」
「入れ」

和服の袖に手を引っ込めると、屋敷の奥に引き返していった。
慌てて後をついていった。

じいさんが襖を開けると、そこにはベッドがあって。

そこに、ニノが横たわっていた。
青白い顔で眠っている。

「…もう三日前から意識がない…」

そう言うと、大野のじいさんは疲れたようにベッドの傍にある椅子に座った。

「どうしても最期にあんたに会いたいとニノが言っていてな…だから、手紙を出した」

ベッドに近づくと、手を握った。

少しだけニノは目を開けた。

「ニノ…」
「翔…さん…」

微笑むと、深く息を吐いた。

「ありがと…ございました…」

それが、最期の言葉になった。



ニノ…ニノ…

あんな俺のきまぐれのキスを忘れないで

ずっと俺のこと好きだったんだな

こんな異国の地で、じいさんの世話をさせられて

なのにおまえは…



なぜだか涙が溢れて止まらなかった。

こんな奴…ニノみたいな事情を抱えて日本に来る奴なんてたくさんいるのに…


最後の手紙の震える文字が、瞼に蘇った。

それでも…ニノ…



おまえは一生懸命生きてたんだ



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