第9章 escort by つぎこ

送り主は予想通り、翔くん。

『 待ってる 』

待ってる…って。
勝手に待たれててもね。

ここはやっぱ寝たフリ、だよな。

ちょっと放置。
でもやっぱり気になって…。

また覗いてみると、吹き出しが増えていて…。

『 部屋を出て 』『 エレベーターで一階へ 』

『 正面玄関から左に出る 』

なんだろ…。
吹き出しの中には、道案内みたいな指示が続いている。


別にシカトしててもよかったんだけど、好奇心がうっかり顔を出してしまって…。

待ってる…って。
翔くんのコトだから、ずっと待ってるよな。

明日も撮影あるしな…。

なんて言い訳して…。


結局…。

「…えーっと。ここを右ね。そっから突き当たりを…左、っと。その先を…。」

上手く乗せられてしまって…。
これがまた、絶妙なタイミングなんだよな。

『 暗いから、足もと気をつけて 』

翔くんらしい気配りもあったりして。



気が付くと、小さな広場らしき場所にいた。

『 ベンチに座って 』

指示の通り、ベンチに座った。
次は…。

『 ちょっと休憩 』

休憩？