Welcome to our party 2 【気象系BL】
第85章 codename.Z by のさまじょ
「完了しました」
「ご苦労」
櫻井教官は俺の顔も見ないで書類にハンコを押した。
「意外と二宮も簡単な奴なんだな」
「そんな…」
「なんだ?バディだからって庇うのか?」
「いえ…」
白けたような顔をして、俺に書類を渡してきた。
「担任に渡しとけ」
「…ありがとうございます」
二宮と俺は、最後まで成績が競っていて…
教官達が白黒決めるからと、二人に課題を出してきた。
俺に出された課題は、大野から二宮を寝とって抱かれろ、というものだった。
大野と二宮のことは学内では有名だった。
それを利用した、所謂卒業試験ってやつだった。
一番になると、希望の任地に行けるということだった。
死の危険のない、安全な場所へ…
「あの…」
「なんだ」
「二宮の課題って…」
「…知りたいか…?」
寮の部屋に戻ると、二段ベッドの下段に二宮が寝転がっていた。
「…知ってたのか」
「なにが?」
「俺の課題の内容だ!」
「別にぃ…?」
三年間バディをしていた間、見たこともないような悪い顔で俺を見た。
「俺の勘が当たったんだ」
くっくっくと笑うと、起き上がって俺を見上げた。
「…で?嘘の報告上げたんだ?」
「くそっ…」
結局…あの夜…
二宮は俺を抱かなかった。
逆に俺が、二宮を抱いた
なんでそうなったのか、わからない。
必死に俺を抱くことを拒否する二宮を口説き落とそうとして、押し倒してしまったのが間違いだった。
でも…俺のものになったと思ったのに…
あんなに、俺の腕の中で乱れたのに…
「欲望に勝てなかったおまえが悪い」
ひらりと枕の下から書類を出してきた。
「俺の勝ちだね。ご愁傷様」
やっぱり…こいつには敵わない…
三年間バディをしてきた俺だから、わかる
こいつは人を欺くことに関して、本当に天才なんだ。
「迫真の演技だったよ。俺、騙されそうになったもん」
そう笑うと、部屋を出ていった。
数年後、任地で二宮の噂を聞いた。
コードネームは"Z"。
アルファベットの最後だから、どん詰まりという意味だ。
絶対に、逃がさない…
二宮は、最強の人間兵器になった
END