第77章 大人への階段　by みきちん

「いいのですか？」

「えっ？」

「潤さんとは……」

「ええ、今日で終わりです」


潤が成人式に向かってすぐ、
雅美さんが家を訪ねてきた。


きっと俺を心配しての事。


雅美さんと俺は生まれた時から、
結婚が決まっていた。


会社や親の利権やなんやらに
振り回される被害者ってヤツ。


でも雅美さんはそんな様子を微塵も見せない。


太陽のように明るく暖かい笑顔が印象的で……

そして純粋に俺の事を想ってくれている。


弟を愛する俺には勿体無い。


だからこそ俺は全てを話し、
婚約破棄を願い出た。



でも雅美さんはそれを拒否した。



『ならば尚更、私といればいい。
それならば潤さんを永遠に愛せる』

『幸せな智さんのそばにいれは
私も幸せです』と。


「雅美さん」

「はい」

「俺と……結婚して下さい」

「えっ？」

「俺も新しい未来へ進みます。
その時はあなたと……」

「よ…よろしくお願い致します」

涙が流れていく柔らかい頬を包むと、
雅美さんの唇に俺の唇を重ねた。



雅美さんと俺との始まりのキス。