Welcome to our party 2 【気象系BL】
第77章 大人への階段 by みきちん
スヤスヤ眠る潤の少し濡れた髪を撫でる。
「好きだよ、愛してる」
『好きと言って』
『愛していると言って』
いくら潤が望んでも言えない。
『キスして』
いくら潤が望んでいてもできない。
その言葉は……
そのキスは……
潤の未来を奪う。
だから潤が聞いていない今しか言えない。
そしてその言葉を伝えるのも今日で終わり。
「失礼します」
いつも通りノックもせず櫻井は部屋に入る。
「ノックくらいしろ!」
「智さまと信頼関係があれば
ノックは無用かと」
「時と場合に……」
「大声を出すと潤さまが起きてしまわれます」
この状況にも慣れたもの。
俺を嗜める余裕すら持ち合わせやがる。
「どうぞ、これで潤さまの身体を……」
「ん、ありがとう」
温かいぬれタオルを渡してくれた。
「では、失礼します」
でも櫻井には感謝している。
俺たちの関係を一切、口外しない事。
そして今日はあっさりと部屋から去った事。
俺たちの始まりを知っている櫻井は、
俺たちの終わりを察知した……か。
って、エスパーかよ。