Welcome to our party 2 【気象系BL】
第75章 essence by きぃな
「誰だ…よっ」
「黙っておこうかと思ったが、キミの飲み方、振る舞いは目に余る」
俺の隣で独り静かに飲んでいた、高そうなスーツをビシッと着た品のある男性
「っ、大野さん、すみません」
「はぁ?大野?誰だよ」
マスターの話によると、最近よく飲みに来る大野グループを率いる若き社長とか…
「社長?お偉いさんかぁ…お偉いさんはさぁ、下の者の苦労なんてわかってくれないんだよなぁ」
ダメだ止まんない
「ふふっ、威勢だけはいいな」
その態度が余裕ぶったようにみえたのか、その時の俺にはそれが鼻についたんだろう
俺は勢いよく立ち上がると、大野と呼ばれたその男の胸ぐらを掴んだ
「その余裕がムカつ…く…っ」
ゆらゆらと揺れる視界
「っ、どうした、大丈夫か、おい…」
ダメだ、気持ち悪い
どうやら本格的に酔いが回ってきたらしい
「お客さんっ、お客さ…ん…」
マスターの声が遠のいていく
意識を手放す寸前に俺が感じたのは、誰かに抱き締められる感触と、心が落ち着くような甘く優しい香りだった