Welcome to our party 2 【気象系BL】
第73章 予兆 by のさまじょ
この男…大野智は、いわゆる宿無しってやつで。
寮付きの会社に勤めていたが、突然倒産してしまったということだ。
実家も遠になく、当て所もなくふらふらとこの辺を彷徨っていたらしい。
「じゃあ、行くとこないの…?」
「まあ…」
それにしちゃ、ボロボロの服を着ているわけでもなく。
放浪して日が浅いのか、垢じみてるわけでもない。
「だから、その辺で降ろしてくれよ」
「え。でも雪降ってるよ?」
「いい。ホテル泊まる金もねえし…なんとかするから」
そうは言っても、ジーパンも濡れちゃってるし。
外気温は氷点下だ。
このまま外に出したら、この人凍死でもしてしまうんじゃないかと思った。
なんでかわからないけど、強引に家に連れてきてしまった。
俺は今はばあちゃんの残した家で一人暮らししてて。
独身だし、気楽なものだった。
「入って」
「でも…」
うだうだ言ってたから、背中を押して家に入れた。
「服くらいなら貸すからさ。家みつかるまで居ていいよ」
居間まで強引に押して行って、ちゃぶ台の傍に座らせた。
「今、お風呂沸かすから」
離れようとした俺の腕を、大野さんが掴んだ。