Welcome to our party 2 【気象系BL】
第73章 予兆 by のさまじょ
倒れていた男はびしょ濡れで。
どうやら車と接触したわけではなく、車が来たことに驚いて足を滑らせて転んだようだった。
よく見たら、足元はスニーカーだった。
「あの…もしよかったら家に来ませんか?着替え貸します」
あんまりにもびしょびしょで気の毒になってきた。
「え?そんなのいいよ…」
「でも…風邪ひいちゃうから」
そういうと、男は珍しい物を見るように俺を見た。
「別に…俺が風邪引いてもあんたには関係ないだろう」
そうなのかな。
でも、風邪はひかないに越したことはないだろう。
「でも、転ばせたのは俺だし」
「ちょっと…」
助手席のドアを開けて、男を押し込んだ。
運転席に回って再び乗り込むと、男はこちらを呆然と見ている。
「じゃあ、どこまで行くんですか?」
「あ…え…?」
「送りますから」
ギアをドライブに入れて車を発進させた。
「いや、あの…別にいいから」
「いいですって。で、どこまで?」
前方に注意を払いながらも男の顔を見ると、本当に戸惑っていた。
「いや…どこって決めてない」
「え?」
「ここに来るのは初めてなんだ」