Welcome to our party 2 【気象系BL】
第72章 彼は誰時 ─Before dawn─ by あにゃ
「おい、潤」
雅紀を自宅まで送り届け、次に俺の家まで向かってくれて。
丁寧に礼を述べて車を降りようとしたら、翔さんに呼び止められた。
「おまえ…いい加減ケリつけろよ」
見つめた翔さんの眼差しが、鋭く俺の心に突き刺さって。
逃れるように目を逸らす。
「なんのこと?」
「わかってんだろ。智くんのことだよ」
「ケリってなに?翔さんには関係ない」
「潤!」
全てから逃げだそうとする俺の腕は、強い力で引き留められた。
「いつまでウジウジしてんだよ。いい加減、ちゃんと向き合ったらどうだ」
「…向き合うもなにも、相手がいないんじゃ仕方ないでしょ」
「違う。向き合うのは自分の心だよ」
「…え…?」
「おまえは、どうしたいんだ?その答えを出さなきゃ、いつまで経っても前に進めねぇぞ」
「俺の、答え…?」
「自分の意思で、自分の道を決めて見ろよ。それが大人になるってことだろ?」
智が、じゃなくて。
俺が、どうしたいか…。
そんなの
考えなくったって答えは出てる
「なんだよ、わかってんじゃん」
クスクス笑って、翔さんは白い封筒を俺に差し出した。
「俺からの成人のお祝いだ。向こう行ったら、智くんによろしくな」
封筒の中には。
ニューヨーク行きのチケットが入っていた。