Welcome to our party 2 【気象系BL】
第69章 おかえり by のさまじょ
愛してた…
愛してるよ…
コールドスリープに入った雅紀に、何度も話しかける。
返ってくることのない会話…
俺たちは、密かに愛し合っていた。
モルモットと研究員だった俺たちに、なぜ愛が芽生えたのかはわからない。
もしかしたら…お互いに縋るものが欲しかっただけかもしれない。
雅紀は俺にしていた実験は、したくなかった。
上席の研究員に無理やりやらされていたんだ。
俺に薬品を投与する時の雅紀は、いつも泣いていた…
それでも…俺は雅紀を愛していた。
あのモルモットのケージのような檻の中で、たったひとつの救いだったんだ。
雅紀の優しい手で触れられることが…声を聞くことが…
俺の唯一の救いだった
「会いたい…雅紀…」
それでも、俺がシェルターの中で狂うこともなく生きていけたのは…
いつか外に出られて…いつかまた雅紀を起こすことができるかもしれない…
それは絶望の中の一縷の望みで…
暗闇に光る、たったひとつの希望だった。
ある日、シェルターの揺れが止まった。
外部モニターを入れると、そこは砂浜だった。
「嘘だろ…」
青い空に、青い海…
核で滅びたと思った世界が、そこにはあった。