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Welcome to our party 2 【気象系BL】

第69章 おかえり by のさまじょ


逃げられればいいと思っていた。
まさか…こんな…

世界が滅びるなんて…夢にも思っていなかった。

傍受していたラジオはとっくに途切れて…
今は何も聞こえない。

ただ、雅紀の静かな呼吸の音だけが聞こえる。

「さ、とし…?」
「ん…?もう喋るな…」
「あのね…」
「なんだよ…」

乾いた唇が細かく震える。

「俺が死んだら…」
「やめろよ…そんなこと言うな」

手を握りしめると、痛いくらい握りかえされた。

「智…ごめんね…」
「雅紀…」
「こんな実験…したくなかった…」
「しっかりしろっ…」

わかってた…
雅紀が先に死ぬことは。

だって俺は、年を取らない
怪我をしてもすぐ治ってしまう

俺になんの実験をされていたのか、嫌でもわかっていた。

「雅紀…眠ろう…?」

この時が…来たんだ…

雅紀の横たわるベッドには蓋がついている。

「だ…め…智が入って…」

乾いた唇にキスをすると、静かにその蓋を閉めた。
静かなモーター音が響くと、雅紀を白い靄が包んだ。

そして、その姿は見えなくなった。

「おやすみ…雅紀…」

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