Welcome to our party 2 【気象系BL】
第68章 さとし by きぃな
連れて来られたマンションの部屋
「さとし、ほら」
おれの前に並べられた水とドッグフード
おれは いぬ
あと少しで16歳になるビーグル犬
人間でいうと80も近いくらいのおじいちゃん
「オマエの青い首輪にさ、ご丁寧にマジックで書いてあんの『さとし』って」
そのひとはおれの頭をわしゃわしゃってやって、優しく微笑う
「俺は雅紀って言うんだよ」
『雅紀』
それがおれに手を差しのべてくれた、このひとの名前
「遠慮しないで食べていいよ」
微笑いながら、俺の頭を優しく撫でてくれる雅紀
「…なあオマエ…飼い主は?」
わかんない、わかんないけど…
知らないこの土地に車から降ろされて、ずっとずっと待ってても、誰も迎えに来てくれなくて
おれは…捨てられたの?
雅紀を見上げる
「そんな寂しそうなカオすんなよ…いいよ、行くとこないなら、俺が面倒みてやるから」
おれに触れる雅紀の手から伝わってくる、温もりと優しさ
おれの勘が『このひとはいいひとだ』って言ってる
おれは久しぶりにぱたぱたと、尻尾を微かに揺らした