Welcome to our party 2 【気象系BL】
第64章 流転 ーRU-TE-Nー by Namako
簡単に朝食を済ませると、雅紀はいつに無く緊張した面持ちで鏡の前に立った。
ジェルで固めた髪を何度も手直ししては、小さな息を何度も吐き出す。
「もう、そんな緊張すんなって…」
「そうは言うけとさ、緊張するだろ、普通…」
智から受け取ったネクタイを首に巻き付け、襟元でキュッと結ぶと、その上にジャケットを羽織る。
そして、鏡から隣の智に向き直ると、今度は智のネクタイを締めた。
「いい加減自分でやれよな」
「だって何回やっても絡まっちゃうんだもん。それにさ、雅紀の楽しみ取っちゃたら寂しいでしょ?」
クスクスと肩を揺らして、智がベッドの上に置かれたジャケットに袖を通す。
「なあ、親父さん…殴りかかってきたりしないよな?」
息子の恋人がまさか男だった…なんて知ったら…
雅紀はゴクリと息を呑んで、顔を強ばらせた。
「うーん、どうかな…。まあ、ビックリはするだろうね?うちの父ちゃん、昔気質の職人だからさ…」
「やっぱり? うわぁ…、超ドキドキする…」
途端に情けない声を上げる雅紀の唇に、智が少しだけ背伸びをして自分のそれを重ねる。
そして雅紀に背を向けると、一人玄関へと向かった。
「早くしないと置いてくよ?」
「あ、うん、今行く」
「あのさ、反対されたっていいじゃん。許して貰えるまで何度だって立ち向かえばさ…」
ね、そうでしょ…
翠の君?
ー完ー