Welcome to our party 2 【気象系BL】
第63章 リユニオン~巡り逢えたら~ by うめ
大きな音に慌てて唇を離す。
すると…そこには涙を流しながら俺達を見つめる翔の姿。
「翔…」
「翔坊ちゃん…」
「翔坊ちゃん?汚らわしい。さっきみたいに呼べよ。あいつって…なぁ」
フラフラと翔が俺達に近付く。
「俺の事好きだって言ったよな?智…。冗談だろ?親が借金抱えて奉公に出された小作人の息子なんかと…」
何も言えずに黙っていると…雅紀が俺の前に立つ。
「翔坊ちゃん申し訳ありません!」
「お前は黙れ!貧乏人が!!」
翔の怒鳴り声が鼓膜に響く。
「翔…許して…翔が好きだよ。でも俺は…雅紀の事…」
「うるさいっ!」
そう怒鳴る翔の手元に銀色に光る物があるのが目に入った。
僕が雅紀を後ろに引っ張るのと、翔が雅紀に駆け寄るのとはほぼ同時だった。
雅紀の代わりに前に出た僕に…翔がぶつかる。
「さ、智っ…!」
雅紀が俺を支える。
顔面蒼白の翔が…後退りした。
「ど、して…智…」
カチャン、と翔の手から真っ赤な包丁が落ちる。
そのまま翔が崩れ落ちた。
「雅紀…まさ、き…」
何だか…お腹が熱い。
意識が混濁する中で…顔に温かい物が溢れてくるのを感じた。