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第62章 散花の誓い by 咲子
やっぱり‥貴方は覚えてはいないのですね。
せめて桜が散るまではと戦い続けてくれたのに‥押寄せる軍勢を前に為す術も無く、落ちていった城。
貴方は最後までわたしと共にいて下さった。
そして、わたしを愛してくれた逞しい御身体に、わたしの血で染まった刃をあて自刃された。
『来世こそは添い遂げようぞ』と‥。
なのにまた、わたし達は同じ性を受けて巡り逢ってしまったのですね。
「こうして智と過ごせる時間(とき)が、私にはかけがえのないものなのだよ‥」
蝋燭の揺れる灯りが、貴方の精悍な横顔に哀しげに影を落とす。
戦況は芳しくなかった。
敵の急襲を辛うじて生き延びる日々。
落城の日は近いと‥誰もが感じ始めていた。
「わたしも‥雅紀さまとこうして添うていられることが、何よりも幸せ‥」
幾度となく触れた頬に手を伸ばすと、貴方はしっとりと口付けながら腰紐を解き、襟を割ってわたしの肌を愛しむ。
「ああ‥っ‥雅紀さま‥そこばかり‥」
胸の尖りを口に含まれ、柔らかな舌で転がされ‥押し潰されて‥もう片方のそれは、大きな手の中で弄ばれる。
それだけで身を焦がすような愛慾に狂いそうになる。
「お前はいつまで経っても美しい‥愛おしくて‥」
「嬉しい‥わたしの心には貴方さまだけ‥‥」
いつまでも‥
‥幾世の夜も貴方に愛されますように‥
引き締まった背中を‥あの夜わたしを火矢から守ろうとして受けた傷が痣となった左肩を何度も撫ぜる。
これも貴方がくれた愛の証なのだから。