• テキストサイズ

Welcome to our party 2 【気象系BL】

第59章 眩惑 by つぎこ






「…静かだな。」

御前様がポツリと呟いた。


「…静かですね。」

言葉のままに返すと、御前様はゆっくりと目を閉じた。



静かな時間が流れる。

静寂に包まれる…とはまさに、この時だと思う。

夜が深まるに連れ、更にその静けさは現世とかけ離れていくようだった。




不意に視線がこちらに向いた。



「…静かすぎる。」

…。

これはどっちなんだろう。

雅紀なのか、御前様なのか…。



瞳が揺らいだようにも見えた。



「…御前様? 」

「…静かすぎるよ。最初からそう思ってた。」

雅紀だ…。



「…ねぇ。こんなところで寂しくなかったのかな。」

雅紀が玉座の天井を見上げながら、まるで独り言のように言った。

贅を尽くした絢爛たる玉座の間。想いを馳せる、ひとりぼっちの御前様…。



「…当時はね、使用人がたくさんいたんだよ。」

その姿が儚げで、つい口を挟んでしまった。

これだけの大邸宅だ。相等な数の使用人たちが出入していたに違いない。


「…でも、それは使用人、でしょ。」

雅紀が首を傾げ、異を唱える。




/ 722ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp