Welcome to our party 2 【気象系BL】
第59章 眩惑 by つぎこ
「…静かだな。」
御前様がポツリと呟いた。
「…静かですね。」
言葉のままに返すと、御前様はゆっくりと目を閉じた。
静かな時間が流れる。
静寂に包まれる…とはまさに、この時だと思う。
夜が深まるに連れ、更にその静けさは現世とかけ離れていくようだった。
不意に視線がこちらに向いた。
「…静かすぎる。」
…。
これはどっちなんだろう。
雅紀なのか、御前様なのか…。
瞳が揺らいだようにも見えた。
「…御前様? 」
「…静かすぎるよ。最初からそう思ってた。」
雅紀だ…。
「…ねぇ。こんなところで寂しくなかったのかな。」
雅紀が玉座の天井を見上げながら、まるで独り言のように言った。
贅を尽くした絢爛たる玉座の間。想いを馳せる、ひとりぼっちの御前様…。
「…当時はね、使用人がたくさんいたんだよ。」
その姿が儚げで、つい口を挟んでしまった。
これだけの大邸宅だ。相等な数の使用人たちが出入していたに違いない。
「…でも、それは使用人、でしょ。」
雅紀が首を傾げ、異を唱える。