Welcome to our party 2 【気象系BL】
第59章 眩惑 by つぎこ
「…待ってたんだからね。」
俺を見上げ、咎めるように雅紀が言う。どうやら虫の居所が悪そうだ。
「…どうしたの。マネージャーは? 」
ご機嫌を損なわせるような事をした覚えはない。
それに雅紀と一緒に来ているはずの、マネージャーの姿が見えない。俺をここに呼んだのは彼の筈なのに…。
「…帰ってもらった。奥さんに陣痛が始まったって言うから。」
雅紀がボソリと呟く。
奥さんの出産が近いとは聞いていた。そっか、それなら仕方ない。
それよりも…
「…雅紀一人なの? 」
「 一人だけど、悪い? 」
憮然とする雅紀。
別に悪いわけではないけど…。
だけどそれで合点がいった。雅紀の不機嫌は心細さの裏返しだ。
昼間でも深閑としていたであろう館に、うっかり一人で取り残されてしまったんだ。きっと心許なかったんだと思う。
「…翔ちゃんは執事なんでしょ? 御主人様を待たせるなんて有り得なくね? 」
そういうことか…。
図らずも俺は、執事として投入されたらしい。