Welcome to our party 2 【気象系BL】
第49章 時告 by millie
「…智クン?」
僕を名を呼んだその人の姿を僕はこの場所で何度も見ていた。
いつも崖下を覗き込むようにしていた人。
そこにいる時はいつも哀しそうな瞳で海を見つめていた。
最初は気がつかなかった。
でもね…腕にあった時計でわかった。
彼が誰なのかが…。
ね?彼でしょ?彼がそうなんだよね?
そう問いかける僕に君はにっこりと笑って頷く。
笑顔で僕を見た君はまた心配そうな顔で彼を見る。
うん、そうだよね…心配だよね?
でもね…大丈夫だから…。
僕に任せて?
君に向かってそう、心の中で話しかけると君は一つ頷いてまた見えなくなってしまった。
「なんで僕のことを知ってるの?」
「え?【僕】?え?別人?嘘?だって…。
でも…。でも…」
明らかに混乱してるその人の手を取り僕はそのまま自分のアトリエに連れて行った。
春の気配がしてきたとはいえ海沿いのここは風が冷たいから…。
握った手がとても冷たかったから…。
「そこ、座って?今、温かいもの出すから」
動く気配のない彼をリビングに残してコンロの火をつけた。